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延命治療の価値

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数珠


 

 延命治療

 

 

あなたはどこまで
延命治療を希望しますか?

 

時が経つのは早いもので、母が亡くなって6年の歳月が過ぎました。母がガン(癌)で亡くなったあの過程を何度も思い出します。

 

看護師だった母は、定年を過ぎてもその仕事を続けていました。もらえる年金が少ないわけではなかったのですが、世間では看護師は人手不足でしたし、私の家族が月1回程度遊びに行くとはいえ、母自身も一人暮らしで寂しかったのだと思います。

母は高血圧の持病を持っていたので、週1回は近所のかかりつけの病院へ通っていました。母が亡くなる1年ほど前のこと。しだいにつまずくことが多くなり、近所の病院で紹介状をもらって、大きな病院で検査をしてもらいました。検査の日は私も同行しました。

病院

 

その場で大きな脳腫瘍があることが判明し、すぐに専門科のある病院を紹介してもらい、数日後に入院して手術を受けることになりました。

手術

 

腫瘍を取り出して、その腫瘍を検査をした結果、悪性(癌)であることが判明しました。さらに、ガンの転移元または転移先があるのか検査した結果、転移元が肺であることがわかりました。

健康診断で定期的に血液検査やレントゲンは撮っていたものの、それで判明するのは難しい状況のようでした。

その結果が分かると、私はすぐに病院から呼び出されました。初めは病院の先生と私で話をしました。抗がん剤を投与しても「余命1年」と宣告されました。その後、母も同席して、「余命1年」の宣告以外のことについて説明を受けました。

レントゲンを見ながら説明をしている医師

 

抗がん剤を投与しても「余命1年」とはどういうことなのか?

 

抗がん剤は癌を減らすものではなく、増やさないための処置なのです。たとえ抗がん剤の投与を続けたとしても、現状を維持するのも皆無に等しい状態です。特に、他の部位からガンが転移した場合の生存期間は非常に短いようです。

抗がん剤は副作用も強く、投与が始まった当初は、吐き気などの症状がきつかったと母は言ってました。脳腫瘍による半身麻痺が残り、その機能訓練があったこともあり、抗がん剤投与が始まって3ヶ月くらいは入院していました。

その後、退院の許可が下りて、週1回、抗がん剤投与の治療のために通院しました。通院による抗がん剤投与が始まったころは、投与にかかる時間が長かったのですが、しだいに短くなっていったとき、「もしかして副作用の影響?」ではないかと思いました。

点滴とリハビリ

 

命の期限が迫っているのだと感じました。

 

その病院に通院している間、週2回、40km離れた母の家へ行き、そのうち週1回はそこから5km離れた病院へ連れていきました。そのような生活が続いたので、とうとう私が倒れてしまいました。このときばかりは、母に心配されました。

このままでは私ももたないと思い、母は同居を嫌がっていたこともあり、私の家の近くに転居させて、病院もそこから近いところへ連れていきました。

 

母と私はその病院の先生と話をした後、私は待合室で待ち、母と先生の2人で話をしていました。しばらくして、今度は母を待合室で待たせて、先生と私の2人で話をしました。

「前の病院で抗がん剤が投与されていましたが、副作用により投与する量が減らされてますね。」

投与時間が短くなっていたのは、やはり副作用のせいだったのです。そして、

「お母さんは、抗がん剤投与を続けたくないと言っています。」

看護師であった母は、投与時間が短くなっている意味(理由)を理解していたのでしょう。

 

さらに、抗がん剤を投与し続けていたにもかかわらず、新たな脳腫瘍ができ始めていました。延命するには、まず脳腫瘍を取り除いていかなければならないとのことで、その病院から12km離れた病院で「サイバーナイフ」という放射線治療の施術を受けることとなりました。

サイバーナイフ」は、コンピューター制御で癌の位置を正確に捉えて照射するという先端医療です。

サイバーナイフ放射線治療

 

入院する日が決まった当日の朝、母の家に行くとトイレへ行って動けなくなっていた母がいました。急いで病院へ連れていって入院、数日後に最初の「サイバーナイフ」を受けました。

小さい腫瘍が10個くらいあったので、数回に分けて治療を受けました。

MR、CTスキャン、レントゲン

 

それから1ヶ月くらいは落ち着いたかに見えましたが、またポコポコポコッと腫瘍が出現。

また「サイバーナイフ」の治療を受けましたが、これ以上照射すると脳が腐るので、また腫瘍が発生したときは諦めて(死を覚悟して)くださいと・・・

最後の「サイバーナイフ」の施術から1ヶ月後に亡くなりました。

 

母が亡くなった後、延命治療する意味を考えました。

 

母子2人で過ごした期間が長く、その時の苦労話とかを語り合いました。母のお気に入りの長男が小学生になり、とても喜んでいました。母の人生の最後を私や家族の記憶に刻み込む時間であると思います。

もし急死した場合、このような時間を持つことはできません。そういう意味では、ありがたい時間だと思います。

 

しかし、同時に、延命治療には多額の費用が発生します。収入によって支払う自己負担の上限があり、母の場合は月10万円ほど(医療にかかる費用以外のおむつ代などは除く)でした。

母の場合、職場で社会保険に入っていましたので、病気による休職ということで毎月、給与の6割を受給していましたので、この収入で補うことができました。

ただ、延命治療のために国が多額の費用を支出していることを考えると心が痛むところです。

医療費

 

延命治療のために体の痛みに耐える時間が長くなる苦しみもあると思います。だから、母はガンになる前から「延命治療は必要ない」と言っていました。

しかし、楽に死を迎えさせてあげようと思えば、病院に入院させるのが一番よい方法だと思いますが、病院は生き続けるための治療をするので、必然的に延命治療を行うことになるのです。

母が死を迎える直前、看護師さんが

「人工呼吸器を付けますか?」

と聞いてきました。その意味するところは、

「脳死状態で延命しますか?」

ということです。そこまで延命しようとするのかと私は驚きました。

それを聞いた私は、脳腫瘍を摘出した病院を退院した時点で、次に倒れるまでの間の人生を好きなように過ごさせてあげたほうが良かったのではと思いました。

 

もし、あなたやあなたの家族が余命宣告を受けたとき、どのように過ごしたいかを健康なうちに話し合っておいたほうがよいと思います。

 

 

 

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